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板垣ゼミ(社会学科)「メイキング・オブ・卒論」

メイキングオブ卒論
「日本におけるベジタリアンの現状
:ベジタリアンフェスティバル2008を軸として」

まず、卒論のテーマについて簡単に紹介していただけますか。

近年、ベジタリアン(菜食主義者)というライフスタイルが注目を浴びるようになってきており、日本でもイベントがいくつも開催されるなど、盛り上がりを見せています。そんな中、日本のベジタリアンの人たちが、どのような理由からベジタリアンになったのか、また、そもそもベジタリアニズムが含意しているものは何か?ということを詳しく調べたのが本論です。方法としては、2008年10月におこなわれたベジタリアンフェスティバルの参加者へのアンケートやインタビュー、それに文献などからのまとめを通して考察をおこないました。
その結果、日本のベジタリアンは、ベジタリアンになるきっかけとしては健康への配慮からという回答が多少はあるものの、ベジタリアンのライフスタイルを選択するうちに、環境問題や飢餓問題、動物愛護の問題などさまざまな社会問題への関心が高まっていく、ということが分かりました。また、彼らは総じて食への意識が高く、全国各地で開催される多様なイベントを通して、ベジタリアン同士のネットワークを形成していることも明らかになりました。そして、それらの社会問題への意識は「近代化への反省」という大きなテーマにつながっているのではないか、というのが、私の卒業論文の結論です。

なぜ、こうしたテーマを選んだのですか?

もともと自分がベジタリアンであったことが大きく関係しています。私がベジタリアンになったきっかけは、健康の問題や金銭的なことが理由でした。では他の人はどうなのか?ということが知りたくなったのが、ベジタリアンを卒論のテーマに選んだ主な理由です。インターネットや書籍などから、環境問題や動物愛護(アニマルライツ)といった問題への関心が高まっていることが、ベジタリアンの増加につながっているということは分かったのですが、もう少し深く調べてみようということで、アンケートやインタビューをしてみようと思ったのです。

では、具体的な執筆過程を教えて下さい。

最初に卒論について意識し始めたのは、3回生の2〜3月にかけてです。一番はじめは、インテリアとライフスタイルといったテーマを考えていました。しかし4回生の4月になって、先生に相談したりした結果、もう少し焦点を絞ろうということになり、ベジタリアンについて調べてみることに変えたのです。

5〜7月は、ゼミでテーマに関する発表を3回おこないました。その過程で、日本ベジタリアン協会に問い合わせて資料をもらったり、京都にあるベジタリアンメニューに対応したレストランのHPを見たり、実際にそのレストランのオーナーにお話を聴きに行ったり、色々と動き回りました。やはり、自分の足で動くのは重要だと思います。

そして、夏休みから秋にかけては、10月に開催されるベジタリアンフェスティバルでアンケートを配布させていただくお願いをしたり、実際にアンケートの準備を進めたりしました。この頃、「近代化への反省」というキーワードが出てきて、意識して研究を進めるようになりました。そして10月5日にベジタリアンフェスティバルでアンケート調査をおこない、11月以降はその分析とインタビューに取り組みました。ベジタリアンフェスティバルの開催が10月とやや遅めだったので、アンケート結果の分析が後半にずれこんでしまい、少し大変でした。

アンケートの結果は、どのようになりましたか。

アンケート調査からは、ベジタリアンフェスティバルの参加者は総じて食への意識が高いということが分かりました。これはある程度予想されていたことではありますが、意外だったことがあります。それは、ベジタリアンのライフスタイルを選択している理由として、健康問題をあげる人が予想より少なかったことです。食は直接健康の問題に関わってくることなので、ベジタリアンになる理由としては大きそうなものですが、結果は意外なものになりました。それより多かったのは、動物愛護の視点や、環境問題、飢餓問題などです。また、インタビューなどを通しても判明したのは、最初にベジタリアンになるきっかけとしては健康に関する配慮があったとしても、ベジタリアンのライフスタイルを深めていくうちに段々と他の社会問題への関心も高まって、当初の健康問題への関心はその一部になる、ということです。つまり日本のベジタリアンは、ベジタリアンになる理由は人それぞれなのですが、最終的には多様な社会問題への関心を深めていっている、といえるのです。

そのような社会問題への関心は、どういう風に深まっていくのでしょうか。

私がアンケート調査をおこなったベジタリアンフェスティバルなどを始め、現在日本では多くのベジタリアン関連のイベントが開催されています。また、インターネットなどもありますから、ベジタリアン同士のネットワークの形成はしやすいと思います。このようにしてできたネットワークに参加していくうちに、社会問題に対する知識を深めていくのではないでしょうか。そして、それらの社会問題への意識はすべて、戦後日本の大量生産・大量消費といったライフスタイルへの反省、食肉をとるためだけに動物の命を消費する「工場畜産」への反対といったことにつながっていきます。まとめれば、近代そのものへの反省がおこなわれているのです。

卒論の執筆作業を終えて、下級生に対するアドバイスなどがありましたらお願いします。

とにかく、色々な調査から出てきたデータや議論を、既存の文献と照らし合わせてまとめる作業は大変です。また、その結果をうまく文章にまとめるのも案外難しいので、時間には余裕をもって取り組んだ方がよいと思います。アドバイスとしては、テーマについて1つの軸を最初に決めることをお薦めします。始めに決めた軸が1つあると、フィールドワークをするにしてもその軸を参照しつつおこなうことができますし、議論をまとめるときにも視点がブレずにすみます。また、調査にはある程度の根回しというか、関係者との事前の連絡のやりとりが重要です。なのでアンケート調査をしようと思っている人は、今のうちからしっかり予定を立てて人脈を作っておくとよいと思います。頑張って下さい。
ベジタリアンフェスティバルのポスター

ベジタリアンフェスティバルのポスター
配布したアンケート

配布したアンケート