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2008年度 社会学科 鵜飼ゼミ 卒業論文 相互批評集

GT著

現代宗教における若年層の信仰と宗教活動 ―2つの新宗教団体への調査から―

なぜ、物質的に豊かな時代に生きる現代の若者たちが、宗教離れが進んでいると言われる今日の日本において、なお、宗教への信仰を持つのだろうか。それも、既成の伝統宗教ではなく、新しい宗教に多く惹き入れられるのはなぜか。本論文では、これらの問題意識のもと、彼らが如何なる宗教観を有し、社会生活にどのような影響を与えているのかを明らかにするべく、複数の新宗教団体を対象としたフィールドワーク調査を行った。

本調査の結果、現代宗教に入信する若者の動機は、貧しさや病から救いを求めてというよりむしろ、家族や友人をきっかけとして、世俗的問題の解決、人生の目的と使命の模索、あるいは、教団内での人間的つながりを求めて入信する者が多いということがわかった。一方、既成の宗教が若者に受け入れられにくいのは、伝統宗教が新宗教に比べて布教に力を入れてこなかったことや、教え自体が若者になじみにくいこと、伝統宗教のコミュニティ自体が弱体化、高齢化しており、魅力を感じにくいことなどが原因と考えられる。

現代では情報化の進展により、宗教的な価値も個々人が自由に選択できるものとなってきている。そこでは、一部の人々は宗教に魅せられ、また一部の人々は自己啓発系のセミナーや書籍、スピリチュアリティや占いなどの「宗教的なもの」に関心を示す。最近の「スピリチュアル・ブーム」の背景にも、現代人の宗教的感性が見て取れる。

[キーワード] 現代宗教 若者の入信動機 情報化 スピリチュアル・ブーム
GT論文への批評
非常に長期にわたるしっかりした調査で、インタビューや面接調査の内容もよくまとまっている。思わず、「よくここまで調べた。」と驚嘆するほどである。論文内に出てくる宗教団体やその教義なども、非常に詳細に説明されており、あまりなじみのないテーマなのに、内容はわかりやすい。
ただ、調査対象が新新宗教団体と言うこともあり、ある程度はやむを得ないが、他の宗教団体についても同様のことが言えるのか。また、新宗教団体における若者の入信傾向はどうなっているかといった、もう少し幅広い内容も、贅沢を言えば欲しいところである。
しかし、「宗教」と言う難しいテーマにも関わらず、私的な批判を入れず、あくまで客観的な観点から論じている。さらに、合宿を通した参与観察なども行っていることなどから、テーマを深く徹底的に、かつ社会学的に調べ上げた力作である。
(NY)
フィールドワークの内容が興味深くて、実際に調査している情景を思い浮かべることができ理解しやすく、とても読みやすかった。実際に内部に入り込み、信者の人からの話や、教団幹部の人からのインタビュー調査もとてもよくまとまっていると思う。論文の構成も仮説を立て、調査方法を考え、実際に調査する、分析、まとめときちんと起承転結になっていた。各章ごとのタイトルも読みたくなるような工夫がされていた。ただ、1点気になることを挙げると、せっかくここまで時間をかけて調査したのにもかかわらずまとめの部分がもう少し広げることができたかと思うので、少し物足りなく感じた。総合的に見ると、面白い内容も面白く、量を感じさせない論文なので、素晴らしいと思った。
(SA)
対象の教団にきちんとコミットしながらも、客観性を失わない、あくまで控えめな文章ながら、内容は研究者の目から見ても示唆に富むものでした。GT君の良いところが出た論文でした。いつか学問の世界に戻ってきてください。
(UK)