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2008年度 社会学科 鵜飼ゼミ 卒業論文 相互批評集

HY著

犯罪とどう向き合うか ―今日の社会を取り巻く状況を通して―

この卒論では、大きく分けて犯罪を通してみる社会の分析と、それに対する私たちの反応や行動の二つによって構成されている。

前半は犯罪やその社会についての分析を行っている。2章においては犯罪を通した社会分析を日本の場合と外国の場合の対比で行っている。3章では実際の事例をもとに犯罪の特色を見ている。ここから、欧米では社会の発展が逆に犯罪の増加に関連しているということが分かった。反対に日本では犯罪は減少しているが、その代わりの問題があった。それは犯罪動機の不明確さであり、大きな社会不安を引き起こす要因となっている。

後半は犯罪を目の前に私達はどのような行動をとってしまうのか、どのように向かっていけばいいのかについて述べている。第4章では、モラルパニックとそこから来る地域の防犯活動について見ていっている。そして第5章でそれらを踏まえた上での考察を述べている。犯罪動機の不明確さや被害者中心の犯罪報道等から来る過剰な不安は、防犯活動の中で新たな排除と行った問題を引き起こす可能性がある。だからこそ、一人一人が自律的で主体的な姿勢で犯罪に向かうことが重要であるというのが私の考察である。

[キーワード] 犯罪 多元社会 理由なき殺人 モラルパニック 自律
HY論文への批評
この論文は、論理の流れがはっきりしているので説得力があり、後半の治安対策に関する章では、対策について詳しく調べられており、筆者の考える対策も納得のいくものだった。この論文は、自分たちが抱いていた犯罪に対するイメージを変え、犯罪防止のために自分が何をするべきかを考えるきっかけになるだろう。
ただ、犯罪を防ぐための筆者の対策である、「自立的で主体的な判断を取れるような習慣を付けていく」ことと、公的機関による「分野の垣根を越えた犯罪対策の政策」に関して、その対策のために、具体的に私たちはどうすることが必要なのかについてもう少し筆者の考えが欲しいと感じた。
また、前半では、日本と海外の事例について書かれているのに対し、後半では、主に日本における対策について論じられているが、海外の対策について記述されていなかったので、海外の政策についても記述が欲しいと思った。
(NS)
格差社会(所得格差)と犯罪についての論文で非常にタイムリーなテーマで私自身も興味を持って読み終えることができました。私も報道番組などで日本が治安悪化しているとよく耳にしますがいまいちピンときませんでした。しかしそう感じるのは論文に述べてあるような「わけのわからない」に対する不安であり、理解できないことへの恐怖感だということがとても共感し、納得することができました。誰も犯罪を起こしそうな人が犯罪を起こしても誰も驚かないし、何らかの防犯対策もできるはずです。そんな「わけのわからない」犯罪を起こす者は社会に対するリアリティがなくなり、背景として格差社会(所得格差)がそのような犯罪者や犯罪を生み出していくことがわかりやすく、非常に読みやすい論文でした。
(ST)
HY君のスピード感というか、各論点をきちんと押さえて、整理する能力はすごいなあと感じました。でも、論文を書くには不器用さも必要だと思います。自分の中の「ひっかかり」をもっと活かせば、主張したいことがより明確になったはずです。
(UK)