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2008年度 社会学科 鵜飼ゼミ 卒業論文 相互批評集

ISY著

物語としての高校野球 ―球児・地域性・メディアを組み合わせる観衆―

見る側、感じる側にとっての高校野球の魅力とは何なのか。なぜ高校野球は人々を惹きつけるのか。本著ではメディア、地域性、高校野球の制度、聞き取り調査などの観点から探求していく。第1章では大衆がスポーツに熱狂する理由を歴史的観点から考察する。そして第2章においてスポーツの中の高校野球とはどのようなものなのかを論じる。高校野球には、独自のスターや、それぞれ出場校の風土、対立構図がある。それらを組み合わせ人々は高校野球の物語を作っていく。また、第3章では選抜高校野球の21世紀枠を例に挙げ、地域性という観点から探っていく。次に第4章では実際に甲子園に出場する選手になる方法を探りながら、現在彼らを取り巻く野球の環境の問題についても論ずる。そして第5章において去年まで高校野球をしていた人、また高校野球を見るのが好きな人の聞き取り調査を行った。その調査の考察を元に高校野球の物語性について深めつつ、全体としての物語性についてまとめた。

[キーワード] 高校野球 甲子園 地域 物語性
ISY論文への批評
本論は、高校野球に関する詳細な情報や文献だけではなく、スポーツという観点や、対立構造からどうして高校野球が人々にとって魅力的なのかが述べられており、感心させられる点が多かった。特に、高校野球は実は地域のつながりや努力と大きく関係しており、あらためて人々と甲子園との相互関係性を考えさせられた。ただ、「ハンカチ王子」については、当時の社会状況を踏まえたとしても、結局メディアによる力が大きく関与している印象が目立つ。投手により勝敗が大きく左右される高校野球にとってこの問題を扱うのは難しいのかもしれない。また、第四章では甲子園球児になるための方法を考えるため、聞き取り調査を行っているが、本論の主旨との関連性が少しうすく、球児の身内のお話などを通して、人々が高校野球に共感できる理由を探っているのだろうか。
(IT)
高校野球が元々持っている機能や地域との関わり、高校球児たちが、観衆の立場とは離れて主体的に活動する姿が、結果として観衆の心を揺さぶるのだ、ということが、この論文から明快に伝わってきて、非常に読みやすかった。高校野球を愛する人々にとって、非常に興味深い論文である。この論文を読んでいると筆者の高校野球に対する思いが伝わって来る。熱意がこもった素晴らしい論文だと思う。
ただ、第3章やまとめの部分で、高校野球は地域の活性化につながる、と書かれているが、地域との関わりが観衆になぜ影響を与えるのかについての記述が少なかったように感じる。地域社会を、客体である観衆として捉えるのなら、影響は与えていると思うが、論文を読む限り、地域社会は主体的な働きをしているように感じたので、その点が理解しづらかった。
(NS)
野球が好きな女性による、野球に関する論文。いままで何本も読んできましたが、その中でもISYさんの論文は優秀作ですね。高校野球に対する思いと、こつこつと取材してしっかり書き込んでいく態度と、メディアや地域への目配り、成熟した視点に感心しました。
(UK)