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2008年度 社会学科 鵜飼ゼミ 卒業論文 相互批評集

NS著

法律の中から見る児童虐待 ―法律の変遷と児童虐待の変化―

私は、日本に存在する児童虐待に関する法律の内容と法律の中身が変化するとともに児童虐待がどのように変化したのか、について考察した。
第1章では、現在日本に存在する「児童虐待防止法」について調べた。児童虐待の定義や児童虐待に関する国民・行政の責務、児童虐待発覚以後の手続きなどについて、法律の詳しい中身を見ている。

第2章では、戦前から日本に存在していた児童虐待に関する法律について調べた。調べる中で、法律の変化につれて児童虐待の中身も変化したことがわかった。その変化は1990年代に入ってから起こったものと考えられる。

第3章、第4章では、なぜ90年代に児童虐待が変化したのかについて考察した。私は学歴社会から来る格差が原因となって変化したのだと考えたが、それだけではなく、核家族化の進行やフェミニズムの問題も虐待問題に影響を与えているのだった。この結果を受けて、児童虐待問題を解決するには、貧困政策などの社会政策を行うことも必要ではないかと考えた。児童虐待が変化したことによって、当時の法律では児童虐待問題を対処できなくなり、現在の「児童虐待防止法」を生み出すことになったのである。

[キーワード] 児童虐待 児童虐待防止法 社会格差 核家族化 フェミニズム
NS論文への批評
この文章を読んでいって、まず1番残念に終わったことは法律の中身や児童虐待の概要の説明が羅列的に並べられてしまっていることだった。特に第一章を中心によく見受けられたのだが、ここをもう少し自分の言葉で紡いでくれると読む人にとってもありがたかったのではないかと思う。
翻って本文の内容に目を向けてみれば、なかなか興味深いことがいくつも見受けられた。特に虐待の歴史を見るという所で、ここ数十年のことを書くのではなく戦前にまで遡って見ているのは新鮮であり、当時と今の社会の比較も見て取れるので面白い所だと思った。他にも、後半の虐待と経済格差を論じている所などは数字などが充実していて説得力のあるものだったと思う。
このように中身がしっかりしているからこそ、前半がもう少し読みやすい文章だったら、と残念に思った。
(HY)
法律を切り口としてロジカルに児童虐待を読み解きつつも、その変化の背景にあるものを様々な角度から柔軟に考察しているところが良かったが、欲を言えば90年代以前の虐待者の経済状況や家庭環境なども比較として交えれば、もっと説得力のあるものになったのではないかと感じた。
社会を変えるために政策を変えるべき、というのは、言うよりも実行は難しいのでは、と考えながら読んでいたが、最後に同時に人も変わっていけば、という筆者の意見にも好感が持てた。このような深刻な問題に対して、筆者の言うように社会や人が変化し解決に導くためには、具体的に何ができるのか。次の論文ができたら是非読んでみたいと感じたし、児童虐待という問題に対し前向きに考えてみたいと思わせる論文だった。
(MM)
書き始めた頃は、法律をめぐる記述ばかりで、どうなることやらと心配していましたが、徐々に社会学的な考察が加わり始めて、良くなっていきました。「いまどきの」理論に流されず、貧困という本質的な問題にいたったのは、NS君の着実な研究態度の成果だと思います。
(UK)