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2008年度 社会学科 鵜飼ゼミ 卒業論文 相互批評集

ST著

化粧と社会心理学 ―「見せる美」と「隠す美」―

この論文では「ナチュラルメイク」という言葉における「ナチュラル=自然」の矛盾について論じた。第1章では具体的に「ナチュラルメイク」と「小悪魔メイク」を例に取り上げ、2つのタイプの傾向を比較した。第2章では化粧というそのもの自体の存在意義や女性にとってどういうものなのかを多くの研究とともに分析した。第3章では日本人特有の肌に対する美意識について詳しくまとめ、「ナチュラルメイク」という言葉が存在する要因を追及した。第4章に化粧が「綺羅の美」と「素の美」という2つの異なった美意識の融合であることが分かった。そしてこの正反対の美意識こそが化粧を存在させるものだということに結びついた。最後の第5章では私なりに化粧が心理的影響だけではなく、社会的影響と密接に関係し、女性の価値観や考え方までも変化させていることをまとめた。

[キーワード] 化粧 ナチュラル 美 見せる 隠す
ST論文への批評
ナチュラル系と小悪魔系の違いがなぜ起こるかという疑問に対し、化粧の効用や意識からの論理展開と、主張内容には納得であった。様々な観点から、化粧のもつ意味を調べ、ナチュラル系、小悪魔系の違いとどのように結びつくのかが述べられているのは、わかりやすくてよかったと思う。また、ナチュラル系が日本でなぜ主流となっているかの説明も、日本人として、ナチュラル派として、共感するものであり、興味深かった。最後に筆者の主張、結論が簡潔にまとめてあれば、よりわかりやすくなったように思う。化粧が自己の社会的アイデンティティとしての役割を持つという記述があったことから、ナチュラル系、小悪魔系それぞれがどのようなアイデンティティを持っているのかのインタビューなどがあるとより興味深い違いが現れるのではないだろうか。
(TY)
私はあまり熱心に化粧をするほうではないにしろ、女として生きていて、化粧は身近なものであるが、日本人の持つ「ナチュラル」という感覚は非常に手間をかけて演出されたもので、なおかつその演出をも隠すためのさらなる演出がほどこされている、と詳しいデータや欧米との比較とともに言語化されると新鮮な発見になった。「はじめに」が「なぜ女性はナチュラルを作り上げるのだろうか」という一文で締めくくられているように、筆者の興味がナチュラルのほうに強く置かれていたためであると思うが、私はナチュラルメイクよりも馴染みがない分、例えば第4章の第3節に『小悪魔ageha』読者の生の声をいれるなど、なぜ小悪魔メイク(またはそれをするキャバクラ嬢)に憧れるのかをもう少し深く知りたいようにも思った。しかし全体を通して、筆者らしい視点から生まれた疑問点や、そこでの論点がつねに明確にされていて、興味深く読みながら理解することができる論文であると感じた。
(YM)
「お化粧もの」の論文は何本も読んできたので、最初は内心またか〜と思いましたが、どうしてどうして、シャープな着眼点と議論の展開に引き込まれました。さらに資料の裏付けを補強して、結論部分をもう少し整理すれば立派な論文になると思います。面白かった。
(UK)