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ISFJ日本政策学生会議2010参加報告

はじめに

同志社大学山田礼子ゼミナール3回生は2010年4月から8ヶ月間に渡り、ISFJ日本政策学生会議(以下ISFJ)の準備を進めてきました。自分たちで興味のある分野、問題について考え、徹底的に調べ、問題解決のためのアイデアを出し合い、問題の解決性を議論し、論文を書き、発表の練習をしてきたのです。教員や4回生の先輩、TA(Teaching Assistant)の力を借りながらも、基本的には自分達で考え、まとめていかなければいけません。途中で行き詰まり、テーマを大幅に変更したチームもありました。中間発表や論文提出の直前、そして本番前などは日頃にもまして一層準備に熱が入り、徹夜が続いた時もありました。そして12月11,12日と、ISFJの本番とも言える「政策フォーラム2010」で堂々とプレゼンを行い、労働部門に参加したAチームは発表した同部門11研究会の中で最優秀であると認められ、2011年1月9日に行われる政策提言会にて現役国会議員にプレゼンテーションをする機会をいただけることとなりました。

政策提言内容

政策づくりにあたって、2班に分かれて準備を進めました。Aチーム(今川、榛葉、森)は労働問題としてポストドクターの就職問題を取り上げ、Bチーム(北澤、平尾、山本、王)は教育問題として、社会人基礎力問題を取り上げました。
Aチームは、専門能力が高いにも関わらず協調性やコミュニケーション能力に欠けるが故に企業等から敬遠されがちなポストドクターを、行政が主導する人材バンクをつくり徹底したフォローをすることで就職しやすい環境を整え、ポストドクター、大学、社会にとってよりよい状態を創る提言を行いました。
Bチームは、学生と企業の意識のミスマッチと、企業が求める質を持った学生の少なさを問題提起し、社会人基礎力を身に付けた学生を輩出するために新しいインターンシップ制度を確立することを提言しました。

ISFJとは何か

ISFJ日本政策学生会議は「学生の政策提言による望ましい社会の実現」を理念とし、学生による時代感覚を踏まえた政策立案と、政策の実現に向けた発表の場です。政策担当者のみが担ってきた政策市場に対して、学生が政策を提言をしていくことにより、柵のない自由闊達な視座からの政策提言を行うことを目的としています。今年は全国から25大学62研究会が参加しました。
その過程では、6月に勉強会、8月に中間カンファレンス、10月に中間発表、12月に政策フォーラム、そして集大成として1月の政策提言会という流れになっています。この過程を通すことで、様々な専門家や、他大学の仲間から政策作りのアドバイスをいただき、自らの政策論文だけでなく、社会的能力も段階的に高めていくことができる仕組みになっています。

準備にあたって

毎週あるゼミナールでは、各チーム進捗状況を報告し教員、4回生、TAの3者がアドバイスする形になりました。教員は研究のプロとして、4回生は昨年の経験者として、TAは授業以外でもいつでも相談できる存在として3回生の活動を支援しました。チーム内の議論も大いに白熱し、収集がつかなかったり、逆に行き詰ってしまうことも多々ありました。それでもチームで役割を分担しあい、励まし合い、切磋琢磨して、最後までやりきることができました。本番の日も、発表直前までタイマーを片手に何度も練習し、仲間同士でアドバイスをし合っている姿には、TAとしても感動を覚えました。

おわりに

学生の奮闘を蔭ながら見守らせていただいた筆者の立場から、最後まで本気でやりきった学生に心からの賞賛を贈りたいと思います。すべての学生が主体的・積極的に参加してくれました。厳しい意見や、壁にぶつかることも多々あったかと思いますが、あきらめることなく、衆知を大切にし、謙虚に学ぶ姿勢、常に改善していこうとする姿勢を保ち続けたことは、本当に素晴らしいことです。チーム一丸となって社会の問題解決のために情報法収集、分析、議論、執筆、練習してきたことは必ずやこれからの人生の糧になります。一層の研鑽を期待します。最後になりますが、これまでのプロセスに関わり、支援してくださった皆様に改めて感謝の意を表します。ありがとうございました。
1日目:お茶の水女子大学にて、Aチーム発表

1日目:お茶の水女子大学にて、Aチーム発表

2日目:慶応義塾大学にて、Bチーム発表

2日目:慶応義塾大学にて、Bチーム発表
1日目:緊張しながらも、堂々とプレゼン

1日目:緊張しながらも、堂々とプレゼン

2日目:発表後、福沢諭吉先生と。

2日目:発表後、福沢諭吉先生と。

大学院修了者の雇用改善に向けて〜高学歴者の有効活用を〜

同志社大学 山田礼子研究室 労働分科会
今川奈都美/榛葉早友吏/森慧祐
2010年12月
概要

本稿は、大学院修了者特に大学院博士課程修了者の雇用情勢を改善したいという趣旨のもとに展開されている。大学院修了者の雇用・キャリアパス問題に関する先行研究としては小林(2008・2010)や水月(2008・2010)が挙げられ、ポスドク1万人計画などの政策も見られるが雇用改善の兆しは見られず、またその問題の根源は重層的である。そのため、本稿においては大学院修了者を取り巻く現状を明らかにし、その問題を分析した上で政策提言し、大学院修了者がアカデミックだけに捉われず、多方面でその能力を発揮することが可能なキャリアパスの形成の支援を行うことを目標としている。

まず、第1章では、大学院の現状、大学院博士課程修了者の進路状況について論じている。国公私立大学の分野別の大学院の設置数や、大学院修了者数の年度ごとの推移と就職率について文部科学省「学校基本調査」を元に提示している。また、修士課程修了者と博士課程修了者での比較、博士課程修了者の専攻別就職率、文理別の進路状況についての考察を加え、文理・専攻別の差異が見られることを明らかにしている。

第2章では、大学院修了者の雇用不安の要因分析を行っている。分析については(1)政策要因(2)大学要因(3)企業要因と大別している。(1)では日本の大学院の成り立ちから、近年の政策についての流れから大学院生の増加に対して大学院修了後のポストの不足の問題が、(2)では、その政策に連動した大学側の動きから大学院修了者へのサポートの問題が、(3)では企業が大学院生を採用するにあたってその社会人基礎力の問題が浮かび上がった。

そして、第3章では分析結果をもとに「大学院人材バンクの設立」という形で立案する。その特徴は以下の通りである。

大学院人材バンクの設立
大学院修了者の雇用問題・キャリアパスについて各大学院独自の分散型ではなく、全国的共通認識を元に組織する。大学院生と企業を始めとした外部機関との架け橋となり、大学院生のキャリアパスについて徹底的に支援する。

大学院人材バンクの機能
大学院修了者の雇用問題・キャリアパスについて各大学院独自の分散型ではなく、全国的共通認識を元に組織する。大学院生と企業を始めとした外部機関との架け橋となり、大学院生のキャリアパスについて徹底的に支援する。

  1. 管理
    大学院人材バンクでのプロフィール登録によって、大学院修了者が進路を確定するまで徹底的に追跡をする。

  2. 外部へのアピール
    大学院修了者をアカデミックポスト以外の職に対しても有効性をアピールすることで、雇用を促す。

  3. 教育
    社会から離れた、長年の研究生活から社会へ即戦力として活躍できるよう、社会人基礎力の育成を行なう。

第4章では、大学院人材バンクについて(1)管理(2)外部機関へのアプローチ(3)教育の3点からその効果を検討し、大学院人材バンクの展望を提示する。

産官学連携によるインターンシップの必修化
〜社会人基礎力の育成と向上のために〜

同志社大学 山田礼子研究室 教育分科会
北澤大樹/平尾仁美/山本裕里子/王鑫
2010年12月
概要

我々は、学生の「社会人基礎力」の育成と向上のために、企業・行政・大学の産官学連携による新たなインターンシップ制度の必修化を提言する。

第1章では、企業による新規大卒者採用の現状を量的側面と質的側面の両面から検討し、企業の「学生の質」を重視する傾向は非常に強まっていることを明らかにした。そして、企業が重視するその「学生の質」が変容していることを指摘する。

そして、企業による新規大卒者採用の現状から生じている2つの問題点に我々は着目する。一つ目は質重視採用であるにも関わらず「学生の質」を企業が危惧していること、そして二つ目は「企業が学生に求める能力要素」と「学生が企業に求められていると考える能力要素」に大きなミスマッチが生じていること、以上の2点である。

これらの現状とその現状から生じている問題点を踏まえ、我々は企業が学生に対して最も求めている質とは経済産業省が提唱する「社会人基礎力」であると指摘する。そして、その「社会人基礎力」の育成と向上に見合う教育が、学生が就職活動を開始する以前に大学教育で行われていない、という仮説を立てた。

第2章では、上記の仮説を立証するため現状分析を行う。まず大学教育における「社会人基礎力」の育成と向上に見合う複数の教育形態を検討する。そして、その教育形態等は不十分であるとし、その中でも我々は「インターンシップ」に着目する。我々はインターンシップの意義や効果を言及するとともに、現在行われているインターンシップ制度の課題を明らかにした。

第3章では、これらの課題を踏まえ、以下に示す新たなインターンシップ制度を提言する。

  1. 企業・行政・大学の産官学連携大学と企業の連携
    を取り持つ仲介役を行政が果たすことで、両者の円滑な連携を促進し、学生にインターンシップの機会をより多く提供する。また、産官学それぞれの役割・使命を分担の下、相互に存在する教育資源を持ち寄ることで、企業が学生に最も求めている「社会人基礎力」の育成と向上を可能にする。

  2. 事前研修-実習-事後研修における評価プロセスの導入
    本制度は、事前研修-インターンシップの実習-事後研修という一連のプロセスである。各段階に評価プロセスを導入することで、学生の意識が高まり、より充実したインターンシップを行うことが可能になる。評価をする際は、「事前評価シート」「中間評価シート」「事後評価シート」「プログレスシート」の4つの評価シートを用いる。

  3. 必修化
    すべての学生に事前研修-実習-事後研修という一連のプログラムを提供することとする。

上記の特徴を持つ新たなインターンシップ制度を我々は「新インターンシップ制度」と名付け、提唱する。この「新インターンシップ制度」を必修化することで、企業が学生に求める質を学生は理解し、さらにその質の向上を図ることができるのである。このような「新インターンシップ制度」の効果は、現状において着目した2点の問題点の解消を可能にするだけでなく、行政・大学・学生・企業と「新インターンシップ制度」に関わる諸主体全てに対するメリットを発生させ、社会全体のメリットの創出につながるだろう。

日本は天然資源や軍事力を持たないため、経済力が国力の重要な支えとなっている。したがって、人的資本が中心であるにも関わらす、少子高齢化という大きな社会問題に伴う人口減少が進行し、労働生産性の低下が懸念されている。だからこそ、これからは、日本の将来を担う労働力である「若者」という人材が貴重となり、その「若者」に対する人材育成に力を入れる必要性が大いにあるのである。したがって、大学教育の一環として「新インターンシップ制度」を導入することを皮切りに、社会全体で「若者」の人材教育が盛んに行われることを我々は切に願う。