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テンプル大学(ジャパンキャンパス)での討論会と新大久保「コリアンタウン」におけるフィールドワークの報告

 マグワイアゼミでは、2018年11月20日から21日にかけて、1泊2日の東京合宿を行うことになりました。20日(火)はテンプル大学の人類学のクラスに招かれ、“Disability(障がい)”をテーマに、同じドキュメンタリー映画をそれぞれの大学で鑑賞し、意見交換、討論を行ったのち、お互いの大学から1グループずつプレゼンを行いました。プレゼンを通し、充実した交流会を行うことができました。新大保のホテルで一泊したのち、21日(水)は、ホテルから徒歩圏内にある新大久保のコリアンタウンで、食べ物、ポップカルチャー、ファッションのそれぞれを調べる三つの班に分かれ、フィールドワークを行いました。
以下、その様子を報告します。
※テンプル大学は、1982年に米国ペンシルバニア州総合大学であるテンプル大学の日本校として設立され、2005年には、文部科学省から外国大学日本校として指定を受けた大学です。
11月20日(火)
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 2018年度のマグワイアゼミでは、様々な文化人類学的文献について研究しており、その一環として、テンプル大学との交流会を企画し、テンプル大学の授業の一つに参加、その中でプレゼンを行うことになりました。25名ほどのテンプル大学の学生さんと一緒に授業を受けることとなりました。そのうちのほとんどが日本人ではない学生さんであり、出身国も様々でした。
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 まず、3つのグループに分かれ、事前学習としてみた「さようならCP」(1972、監督:原一男)というドキュメンタリー映画についての意見や感想交換を行いました。さようならCPは脳性麻痺者(CP)の急進的な団体「青い芝」の人々の生活と思想をカメラに収めた作品です。質問の内容は高度なもので、かつ答えのない問いであったので、一人一人が深く考え、議論することになりました。討論はすべて英語で行われるため、日ごろの訓練の結果を試すことのできる貴重な機会ともなりました。以下、交流会中で討論された内容を抜粋します。

・What are some of the mainstream ideas about people with disability that Aoi Shiba no Kai and Hara attempts to challenge?
 (映画製作者の原氏と『青い芝の会』は障がい者に対して何に対する挑戦を試みたか)
・Why do you think the filmmaker chose to show people with CP talking about their sex lives?
  (なぜ映画製作者は脳性麻痺患者が性生活を話すシーンを使ったのか)
・Why is marriage being referred to as “taboo”?
  (どうして結婚が障がい者にとってタブー視されているのか)

 反省会の時、ゼミ生が「私たちの英語が相手に伝わり、会話がスムーズに進むことが楽しく、交流会が始まる前から進んで交流をしたことを覚えています」と言いました。
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 その後、テンプル大学の学生さんが障がい者に関連する日本の法律と福祉に関するプレゼンを行い、質疑応答ののち、マグワイアゼミ生によるがプレゼンを行いました。ゼミ生が「ベてるの家」という施設について一か月ほどかけて調査を行い、発表に向けて準備をしてきました。 

 ゼミ生が「専門用語を使用しなければならない場面が多く、メンバー内で悩み、相談をしましたが、満足のいくプレゼンができたと思います。しかし、その後の質疑応答の場面で、高度なアカデミックな英語が飛び交うことになり、私たちの英語力では難易度が高いと感じざるを得ませんでした。英語力の差に愕然とし、少し落ち込んで教室を出ましたが、フィードバックや移動時間の中で、テンプル大学の先生や学生さんから、たくさんのプレゼンに対する称賛の声をいただいたので、この悔しさは今後の学習への糧にしたいと強く感じました。」と述べました。
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 授業終了後、新小久保のホテルへ向かいました。ホテルでチェックインを済ませたのち、翌日のフィールドワークの足掛かりとなる、新大久保の韓国料理店で夜ご飯を食べることになりました。新大久保はコリアンタウンとして知られており、駅を降りたときからハングルの看板、韓国語が飛び交っていました。中でも、メンバーの数人が話していた「日本との違い」は普段ゼミ生が生活する環境との違いを明らかにしており、おもしろいと感じた点でした。料理はどれもおいしく、本格的なものであり、本当に韓国に来ているかのような錯覚を起こすほどでした。五感をフルで使い、フィールドワークを行うことで、より確かな情報が得られると聞き、食べながら意見を交換し合い、情報を集めることができました。
11月21日(水)
 朝ホテルのチェックアウトを済ませたのち、(ランチタイムも含めて)5時間程度のフィールドワークを行うことにしました。“ファッション”“フード”“ポップカルチャー”の3つのテーマにそれぞれ2人ずつ分かれ、フィールドワークを行いました。その際、自分が一番テーマとして取り上げやすかった、面白いと感じたスポットや店を決めておき、5時間のフィールドワークの後、マグワイアと合流し、そのスポットを紹介するという「エスノグラフィックツアー」も行いました。
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 メンバーの数名は一日目に感じた「本当に韓国に遊びに来ている」という感覚はどこから生まれたのかについてもサブテーマとして挙げ、いくつかの結論を導き出していました。様々なジャンルのお店に立ち寄り、普段自分の利用するお店を主軸に考え、比較することで情報を集め、特に気になるものはお店の方や買い物に来ていた方に質問し、調査の質をあげました。フィールドワーク中は、写真を撮ることで情報を蓄積し、インタビューを行いながら新しい情報を知り、実際に商品を買ったり使ったり食べたりすることで、インターネットなど間接的には知ることのできない情報を多く知ることができました。
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 また、お昼ご飯も各自コリアンタウンにある店で食べました。写真は今コリアンタウンで流行している「ハットグ」というものです。アメリカンドッグの中がすべてチーズであるような食べ物で、かじったところからチーズが伸びる様子が面白く、若い女の子がこぞってSNSに載せることで知られています。
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 マグワイアに各自のフィールドワーク中で気になったお店と現象を紹介する「エスノグラフィックツアー」ーを終えた後、新幹線に乗るため、品川駅へと向かいました。その途中、クルタレ(別名、龍の髭)と呼ばれる韓国の伝統的なお菓子を実際に作りながら実演販売している屋台に出会いました。カチカチの状態のはちみつを掌の温度で温めながら、形を変容させ、長細い糸状になるまで伸ばします。その糸を約16000本になるまで重ね、丸めた中にアーモンドなどの乾燥したペーストを入れると完成です。職人さんからクルタレに関する歴史を学ぶことができました。
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 後日、ゼミの授業にて、各自テーマごとの3班に分かれ、写真スライドを使い、他のグループおよびマグワイアゼミに一緒に参加し、サポートしてくれている先輩方に、当日の様子や、学生たちの分析を含めたショートプレゼンを行いました。コリアンタウンでの日本とは異なった文化を、フィールドワークを通して身をもって感じ、その感覚を全く知らない人に伝えることの難しさ(つまり“translating culture”)もこのショートプレゼンで実感することができました。特に食べ物の触感、味、においを伝えることが難しく、ほかの食べ物に例えたり、一般的に知られている似たにおいを伝えたりするなど、それぞれが工夫を凝らした発表を行いました。
 この二日間の討論会、フィールドワークを通して様々な文化に触れることができました。また、学生さんに対して、アカデミックな英語力の大切さ、フィールドワークを実際にやってみることの大変さについても改めて知ることができた貴重な二日間でした。この合宿を今後のゼミ活動や、日ごろの勉強につなげていくことができればと考えています。

 終わりになりますが、今回この交流会およびフィールドワークにご協力いただきました皆様、テンプル大学の学生の皆様に改めて感謝申し上げます。